ここでは冬虫夏草の効果・効能と安全性や副作用の説明をしています。
冬虫夏草は厚生労働省によって「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分されています。平たく言えば医薬品と誤認するような病気に対する効果・効能を掲げなければ、薬事法に触れず食品の原材料として使用できるということを意味しています。
ここでは中国で一般的に冬虫夏草がどのような用途に用いられてきたかを知るために、中国の医学書「中薬現代研究と臨床応用」に発表された冬虫夏草の臨床実験の結果を引用して紹介しましょう。
病状 | 飲用数 | 飲用日数 | 効果を実感した割合 | 備考 |
---|---|---|---|---|
性機能低下 | 159 | 40日 | 64.1% | 常用時に有効 |
心臓病(冠状) | 33 | 4週間 | 90.5% | |
不整脈 | 277 | 2週間 | 74.4% | 特効性あり |
高血圧症 | 273 | 1〜2ヶ月 | 76.2% | |
肺病 | 30 | 2ヶ月 | 80.0% | |
B型肝炎 | 33 | 2ヶ月 | 78.56% | 免疫球タンパク強化 |
肝硬変 | 22 | 3ヶ月 | 68.0% | 腹水患者に特効性あり |
悪性腫瘍 | 30 | 2ヶ月 | 93.0% | 細胞免疫機能強化 |
アトピー性皮膚炎 | 38 | 2ヶ月 | 89.6% | |
気管支炎(喘息) | 41 | 3ヶ月 | 94.2% | |
糖尿病 | 29 | 1〜2ヶ月 | 86.9% | |
リューマチ | 3 | 12ヶ月 | 82.0% | |
血小板減少 | 30 | 1〜2ヶ月 | 89.8% | |
白血病 | 35 | 1〜2ヶ月 | 85.7% | 白血球、血紅タンパク強化 |
鼻炎 | 43 | 1ヶ月 | 93.0% | |
耳鳴り | 23 | 4週間 | 90.0% | 急性患者にも有効 |
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中国の漢方医薬業界には「中薬三大宝」という言い伝えがあり、その中で冬虫夏草は薬用人参、鹿茸とともに漢方薬の3大宝物として掲げられています。冬虫夏草は上の表で紹介しているように万病の薬と言えるほどさまざまな働きがあることが知られていますが、中国の漢方専門書籍を参考にその効能や古来の利用法について、もう少し詳しく見てみましょう。
風邪や鼻詰まり、咳、喘息、鼻炎、肺結核、肺気腫、肺炎など呼吸器系の病気の症状を、漢方医学では肺虚と言い表しています。肺虚を治療するためには潤肺を行うことが必要で、冬虫夏草の免疫調整作用を潤肺のために使用していたようです。
漢方医学では腎は泌尿器だけではなく骨や筋肉、歯、聴力、毛髪、生殖機能、内分泌機能を司る「生命の動力」と見なされています。そのため腎虚とは頻尿や血尿をはじめ便秘や手足のしびれ、脱毛、めまい、耳鳴り、性機能衰退、神経衰弱や貧血などさまざまな症状の原因を表す言葉として使われています。免疫機能の異常や過労、衰弱も腎虚によるものと考えられ、これらの病状を改善する(強腎する)ために冬虫夏草が用いられました。
精虚には発育不良や不妊症、精子不足、耳鳴り、虚弱体質などの腎臓を原因とするものと、痩せや疲労、顔色が悪い、疲れやすいなど脾臓が原因と思われる症状の2通りがあります。漢方医学では腎臓を原因とするものを先天性の精の欠如、脾臓を原因とするものを後天性の精の欠如と位置づけています。症状の改善には精気を補強する(益精気)ことが必要で、冬虫夏草が益精気のために使われていました。
漢方医学の根本は人体を各部位別に考えるのではなく、全体として捉えて身体のバランスを整えることで治療を行うことにあります。そのため同じ病気でも原因が違えば異なる治療を行い(同病異治)、違う病気でも原因が一緒なら同じ治療を施します(胃病同治)。冬虫夏草の効果として上げられている「理諸虚百損」は異病同治の考えから、すべての虚証(免疫機能や各部器官の機能衰退)に冬虫夏草を用いることで効果が有るということを表したものです。
厚生労働省の資料では冬虫夏草を経口摂取で適切に摂取する場合は「安全性が示唆されている」という表現になっています。これは過去に冬虫夏草を経口摂取する実験などの情報を総合した結果を見る限り、特に問題になるような点は見当たらないということを表しています。
しかし妊娠中や授乳中の安全性については判断するのに充分な情報がないため、摂取は避けた方が良いとされています。他の薬剤との併用については「免疫抑制作用を減弱させる可能性があるため」免疫抑制剤やステロイドとの併用は理論上避けるべきとのことです。これは間接的に冬虫夏草の摂取によって免疫機能が活発になることが推認されている、興味深い表現と言うべきでしょう。
冬虫夏草には毒性がなく、臨床試験でも適切な摂取では安全性が確認されています。しかし冬虫夏草を摂取した人の中には少数ながら、胃部の不快感や吐き気などを訴える人も見られます。これは、どうしてなのでしょうか。
冬虫夏草は中国国内でも一般の人には手が届かないほど、高額で取引されています。冬虫夏草の採取で生計を立てている地元の業者は、1年にたった20日の採取期間で1年分全ての収入を上げると言われるくらいです。業者の中には小麦粉やトウモロコシ粉、プラスチックなどで本物と見分けがつかないほど精巧な偽物を紛れ込ませたり、高く売るために鉛などの金属を仕込むこともあるようです。
また日本では虫草類をすべて冬虫夏草と呼ぶ傾向があるため、健康に良いどころか有害な別の種の虫草菌が販売されていることもあります。冬虫夏草の安全性は確認されているものの、冬虫夏草と称して売られている製品の全てが安全というわけではないことに留意する必要があるでしょう。
日本でも冬虫夏草の臨床実験が進んでいます。特に、冬虫夏草に含まれているコルジセピンという成分には、生活習慣病や認知症にアプローチできる可能性があるとして、研究が実施されています。
「臨床研究情報ポータルサイト」という日本の臨床研究・海外の治験情報が公開されているサイトで、「冬虫夏草」を検索すると、いくつか臨床中の研究が見受けられます。(※1)(※調査時期2021年12月) 日本での臨床結果が出てくると、新しく開発された薬や商品が出てくると思われますので、今後に期待です。
臨床結果が出るまでは、コルジセピンや冬虫夏草についての情報を、当サイトや他のサイトを使ってみておくこともおすすめします。
(※1)参照元:臨床研究情報ポータルサイト:https://rctportal.niph.go.jp/result
冬虫夏草に興味が湧いてきた方のなかには、実際に摂取してみたいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
冬虫夏草の摂取は、漢方のように煎じて摂取する・サプリメントとして摂取するなど、さまざまな方法で試しやすくなってきました。
ただ、国内に流通している冬虫夏草にはさまざまな種類があり、海外で製造されているものもあります。海外製造品の中には、まれに偽物や粗悪品が横行していることも…。
冬虫夏草を選ぶときは、厳しい管理体制で栽培された冬虫夏草を使っているか、もしものときに製造元に問い合わせしやすい国内製造のものから調べることをおすすめします。