よくわかるやさしい冬虫夏草ガイド
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民間療法や漢方、補完・代替医療に冬虫夏草が使われる理由がよくわかる

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そもそも冬虫夏草とは

ここでは冬虫夏草の定義や種類など、基本的な知識を詳しく紹介しています。

冬虫夏草とは

冬虫夏草は、冬虫夏草菌(コルジセプス・シネンシス)が鱗翅目コウモリガ属の幼虫に寄生して菌糸核を形成し、春から夏にかけて茸(子実体)を形成したもののことです。

冬のあいだは虫の姿で夏になると子実体が生えて草になるところから、冬虫夏草の名前が付けられています。

冬虫夏草は植物か動物かという疑問をよく耳にしますが、冬虫夏草は植物でも動物でもなくキノコと同じ菌類に分類されます。

冬虫夏草の生態

冬虫夏草とは、虫に寄生するキノコの一種です。

初夏に孵化したコウモリガの幼虫が、樹木を食害する際に冬虫夏草の菌が付着・侵入します。

菌は虫の中に侵食を始め、最終的には虫が地表に出る前に取り殺します。その後、冬の期間で虫の皮の中で菌が成長するのです。

春から初夏に育った菌が発芽して、草のように細長い形状になって地表に生えてきます。これが冬虫夏草の生態です。

さまざまな虫に寄生しますが、コウモリガ以外の寄生については、正当な漢方生薬としては扱われていません。

冬虫夏草の種類

冬虫夏草コルジセプス・シネンシスに代表される虫草菌(コルジセプス属)は世界中に分布していて、その種類も350種類以上にのぼっています。コルジセプス属の大部分は、コルジセプス・シネンシスと同様に昆虫に寄生する性質を持っています。

しかし中国では青海省やチベット、雲南省、四川省、甘粛省の海抜4,000m〜5,000mの高山に生息するコウモリガ属の幼虫に寄生して子実体を形成したコルジセプス・シネンシスのみを冬虫夏草と呼び、他の虫草菌は冬虫夏草とは呼ばずに「〜虫草」と呼び分けています。

冬虫夏草のほかに中国で漢方薬として認可されている虫草菌類は「蝉花虫草(セミタケ)」と「蛹虫草(サナギタケ)」など数種類に過ぎません。日本ではこれらの虫草類も含めて、コルジセプス属を総称して冬虫夏草と呼んでいます。

トンボの冬虫夏草?ヤンマタケとは

冬虫夏草の種類の1つに、トンボに寄生してできるヤンマタケというものがあります。寄生するトンボは主に3種類で、アキアカネ、ナツアカネ、ノシメトンボで、成虫に寄生します。

ヤンマ科のトンボに寄生している状態で初めて発見されたため、ヤンマタケという名前が付けられました。トンボの節目部分から、2.5~6mmほどの大きさ子実体を発生させます。色はオレンジがかった白色です。

一般的に昆虫に寄生する菌類は完全型のものが多いのですが、ヤンマタケはクモ、スズメガ、ハエなどに寄生する虫草菌と同様、不完全型の虫草菌です。有性生殖器官を持たず、分生胞子の形で世代を繰り返します。

ヤンマタケがトンボに寄生する場合、胞子の状態で空気中に漂って飛んでいるトンボに感染すると考えられています。感染されたトンボはやがて死に絶え、その身体を栄養源にしてヤンマタケが成長します。植物の葉や枝に留った状態のままであることも多いです。

中国では古くから重宝されている

冬虫夏草は古来より中国・チベットで重宝されてきた漢方薬です。

その歴史は、1400年ごろチベットの薬物書や、清朝時代の有名な漢方医学書に高貴薬として取り上げられているほど、長く由緒正しい薬としての歴史を持っています。

また、1987年には研究による効果検証を経て、中国医療機関向け一級漢方として認められました。

さらに近年の研究・臨床実験の結果、冬虫夏草の副作用は、精子数増加と体重増加のみで、多数の栄養素が豊富に含まれていることが分かったのです。

このような効能や研究結果から、1995年には中国で国家指定食品としても認められています

歴史と研究の中で証明された冬虫夏草の効果

  • 強壮・精力増強、疲労回復効果
  • 身体の機能を整え、免疫力を高める効果がある
  • 肺と腎を強める働きがあり、喘息の治療などで使われている
  • 副作用は精子数増加と、体重の増加が確認されている
  • アガリクス茸の17倍のβ-グルカンを持ち、がん抑制効果が期待できる
  • 亜鉛、セレン他のミネラル類・天然アミノ酸他のタンパク質も豊富
  • 健康維持に効果的なコルジセピンや抗酸化酵素(S.O.D)を含む
  • 壊れた細胞を修復する力がある

冬虫夏草の希少性

2007年に1gあたり約3,400円で取引されていた冬虫夏草は、近年の中国の好景気による需要の拡大と乱獲による資源の激減によって、2010年には1gあたり約7,400円にまで高騰してしまいました。もはや純金よりも高価になってしまったのです。

2007年に中国科学院が行った冬虫夏草の現地調査では、最も主要な産地であるチベット自治区と青海省の冬虫夏草生産量は25年前の約10%、中国全土では約3.5%にまで生産量が落ちていることが分かりました。

冬虫夏草の乱獲は自然環境を破壊し冬虫夏草菌の寄主(宿主)となるコウモリガの幼虫の生体にも影響を与えるため、今後はますます冬虫夏草の資源が減少するだろうと予測されています。

このため中国国内における冬虫夏草の管理は厳重を極め、海外への輸出も制限されたことで現在は中国から日本への冬虫夏草の輸出は行われていません。冬虫夏草は中国の限られた環境でしか成育しないので、日本から天然の冬虫夏草は完全に姿を消してしまったのです。

冬虫夏草の新星「サナギタケ」

希少で手に入りにくくなった冬虫夏草の代わりに最近、中国や韓国で注目を集めているコルジセプス属(虫草菌)があります。それがコルジセプス・ミリタリス(サナギタケ)です。

コルジセプス・ミリタリス(サナギタケ)は、中国をはじめ日本やカナダなどでも分布が確認されている虫草菌で、中国ではガンの治療補助薬として認可されています。冬虫夏草(コルジセプス・シネンシス)とも同じコルジセプス属で、鱗翅目の昆虫に寄生するなど虫草類の中でも極めて冬虫夏草に近い成長プロセスをもっています。

サナギタケには冬虫夏草に含まれていない、悪性細胞の増殖を阻害する働きがあるコルジセピンが含まれているため、冬虫夏草の新たな担い手として注目を集めています。

免疫抑制剤として注目されている「セミタケ」

現在はいろいろなものが冬虫夏草として利用されていますが、その中でも特に珍しいのはセミタケです。

薬として使用する際はセミ本体ではなく、生えたタケの部分を使用します。成長するにつれてセミからまるで花のようにタケが伸びていくため、中国でセミタケは金蝉花(きんぜんか)と呼ばれています。

セミタケはフユムシナツクサタケと同じキノコの一種で、菌がセミの幼虫に寄生することによって発生します。菌が発生した際に幼虫は死に、幼虫を養分としてセミタケは成長していくのが一般的です。

セミタケは疳の虫や熱、眼病やじんましんなどの症状に有効とされています。破傷風や夜泣きにも効くと言われており、昔は炒めて粉末に加工したものや煎じた(せんじた)液を薬として使用していました。

元々中国にはセミの幼虫を食べる習慣があり、地域によっては幼虫だけでなく成虫も食用として食べられていました。中国では希少価値が高く産生数が非常に少ないですが、日本はニイニイゼミが広く分布しているため、比較的簡単に見つけることができます。

そもそも冬虫夏草としてセミタケが使われるようになったのは、中国の方がセミに再生や高潔なイメージを抱いていたためです。

セミは、土から這い出して(はいだして)羽化を行います。それが昔の人にとって、墓地からの蘇り(よみがえり)のようなイメージに見えたようです。このイメージからセミタケを薬として利用したのが、金蝉花の始まりではないかと推測されています。

また、木の樹液のみを摂取して成長するセミの姿は、理想的な君子と同じイメージを持っています。そのため昔の人はセミを高潔な生き物と認識し、尊重していたと言われています。

現在はインターネットを利用することで、セミタケなどの冬虫夏草は簡単に入手することができます。しかし、購入を行う際は成分や産地をきちんと確認するようにしましょう。

海外から輸入される冬虫夏草の中には、類似品や偽物が多く混じっています。こうした類似品や偽物を購入してしまうと、本来の効果を得ることはできません。

製品によってはセミタケの中に重金属などの有害物質が混じっていることもあり、使用すると健康被害を発生させる危険性があります。

そのためセミタケなどの冬虫夏草を購入する際は、産地や価格をきちんと確かめることがとても重要です。産地が不明な製品や価格が驚くほど安い製品は、信頼性が低いので購入しないようにしましょう。

 
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