よくわかるやさしい冬虫夏草ガイド
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民間療法や漢方、補完・代替医療に冬虫夏草が使われる理由がよくわかる

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製造方法

ここではサプリなどに含まれる冬虫夏草の製造方法による違いについて説明しています。

冬虫夏草培養の実体

冬虫夏草は非常に希少な漢方薬の材料で、資源不足のために高騰化して一般の人の手に届かないものになってしまいました。しかし巷には冬虫夏草を含むサプリなどが、比較的購入しやすい価格で販売されています。これはどういうことでしょうか。

中国では35年ほど前から冬虫夏草の人工培養研究が行われてきました。冬虫夏草の人工培養を行うためには冬虫夏草菌の分離と培養や、宿主になるコウモリガの幼虫の飼育、冬虫夏草菌のコウモリガへの感染、子実体(冬虫夏草の「草」の部分)の形成など多くの困難な問題をクリアする必要がありました。

実際に天然の冬虫夏草が生産される寒地の高山と同様の環境下での研究では一部に成功例が見られましたが、栽培までのサイクルが長く生産にコストが掛かり過ぎるため実用化されることはありませんでした。そのため研究者の多くは困難なコウモリガによる冬虫夏草の人工培養を諦め、比較的簡単な人工培地による菌糸体発酵へと研究のテーマを移していきました。

現在行われている冬虫夏草の主な人工培養方法は、昆虫生体培養法・個体培地栽培法・液体培地発酵法の3種類になります。

昆虫生体培養法

生きた昆虫の体内に冬虫夏草菌を注入して、天然の冬虫夏草と同様の子実体(冬虫夏草の「草」の部分)まで培養を行う方法です。天然の希少な冬虫夏草と同じように冬虫夏草菌に感染した宿主と、宿主から成育した子実体の両方が漢方薬の原料として使用できるメリットがあります。しかし宿主となる昆虫が全滅してしまうリスクも高く、培養には厳重な管理が必要となるため、あまり普及していません。

日本ではサナギタケ冬虫夏草菌を無菌カイコに感染させて冬虫夏草を人工培養することに成功しています。

個体培地栽培法

大麦や米などの穀物にビタミンなどの栄養素を加えた人工培地を培養びんに入れ、滅菌処理を行った後に冬虫夏草菌を植え付けます。昆虫培地による天然の冬虫夏草とは違って、穀物(植物)培地で培養を行うことに特徴があります。生体の昆虫を使わないため環境が維持しやすく、管理コストもあまり掛からないため最も普及している培養法です。

液体培地発酵法

グルコース(ブドウ糖)やペプトン(タンパク質が分解されたもの)などに各種のエキスを加えた培養液に、冬虫夏草菌を植え付けて、液中で菌糸体のみを培養する方法です。静止した状態で培養を行う方法と、培養タンクを振動(撹拌)しながら培養を行う方法があります。短期間で培養できることが最大のメリットですが、昆虫の母体も子実体もできず培養されるのは菌糸体のみになります。

培養法による違い

上記の方法によって得られる冬虫夏草の違いを、簡単に見てみましょう。

【冬虫夏草の培養法の違い】
培養方法 培地 培養期間 培養品
昆虫 子実体 胞子
昆虫生体培養法 生きた昆虫 40日〜50日
個体培地栽培法 穀物培地 40日〜50日 × ×
液体培地発酵法 化学薬品 7日〜20日 × × ×

同じ菌種でも培養の方法によって、得られる培養品の成分や効果には違いがあります。」サナギタケ冬虫夏草を使った培養実験では、サナギタケ独自の代謝産物であるコルジセピン(悪性腫瘍の抑制効果があると考えられている成分)が含まれていたのは昆虫生体培養法によって得られた冬虫夏草のみで、固体培地や液体培地によって培養されたものには含まれていないことが解っています。その冬虫夏草がどのような培養方法で得られたものかによって、期待される効果には大きな違いがあるということは知っておくべきでしょう。

菌糸体商品の注意点

ブドウ糖やペプトンなどを原料とした培養液で冬虫夏草の培養を行う方法は、短期間で菌糸体商品が得られるため中国では盛んに行われています。日本で冬虫夏草の成分が入った製品の多くは、このような中国産の菌糸体を使ったものです。しかし液体培地発酵法による培養では宿主になる昆虫も冬虫夏草の子実体も得られないため、それが本当に冬虫夏草の菌糸体だということが確認できない問題点があります。

2005年に行われた中国菌物学会の発表では、化学分類学や分子系統学の手法を応用して菌類の系統分類を行った結果、中国で冬虫夏草として扱われている菌種23種類のうち非合法なものが7種類、明らかに冬虫夏草ではないものが2種類、名称が不適当なものが3種類、冬虫夏草菌との関係性が不明なもの11種類と、全てについて何らかの問題が存在していることが明らかになりました。

 
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