冬虫夏草は虫草菌の一種で、生きた昆虫に虫草菌が寄生して体内に菌糸の核をつくり、季節が来ると昆虫の頭部や関節から子実体を伸ばして成育したものです。中国では古くから滋養強壮剤として用いられてきました。中国においての冬虫夏草は学名コルジセプス・シネンシスという1種類のみで、3,000m以上の高地でコウモリガの幼虫にコルジセプス・シネンシスが寄生して子実体を形成したものという厳重な定義が為されています。
しかしコルジセプス属(虫草菌類)は世界中で350種類以上発見されていて、そのほとんどが冬虫夏草と同様に昆虫に寄生して子実体を形成することから、人体への影響が定かではない虫草菌類まで冬虫夏草の商品名で出回ってしまっているのが実体です。中国で漢方薬として薬効が認められている虫草菌類は、冬虫夏草のほかにサナギタケ(コルジセプス・ミリタリス)など数種類に過ぎません。
冬虫夏草は高額で取引されることから乱獲が進み、生産量が激減したことでさらに高騰を招くという悪循環に陥ってしまいました。中国では冬虫夏草の絶滅を防ぐため厳しい採取管理と輸出規制を行い、現在は日本ではコルジセプス・シネンシス冬虫夏草が手に入らないのが実情です。
代わって登場したのがコルジセプス・ミリタリス(サナギタケ冬虫夏草)で、日本古来の養蚕技術を応用した昆虫生体培養法が開発され、サナギタケ冬虫夏草が日本国内で安定供給できるようになりました。
サナギタケ冬虫夏草は中国でも薬効が認められ、かつ本場冬虫夏草にも含まれない抗ガン作用が期待される成分コルジセピンを含むことで、一躍注目されるようになったのです。
中国産冬虫夏草はコウモリガに寄生して、成長する冬虫夏草です。
中国では、主に滋養強壮・精力増強や疲労回復、不老長寿、免疫向上、肺機能の強化などの目的で用いられることが多い漢方生薬です。
現在は激減した冬虫夏草を守るべく、厳しい管理・輸出制限が敷かれているため、日本に出回ることはありません。
抗ガン効果が注目される日本産冬虫夏草ですが、寄生される虫や菌の種類により、体にもたらす効果が異なります。
ホネタケは、前立腺ガンの骨転移の阻害、カイコはアルツハイマー型認知症において、海馬の修復作用があることがマウスによる実験で確認されています。
日本産の冬虫夏草培養は、自然薬食微生物研究所が人工培養による日本産冬虫夏草の実用化に成功しました。
その技術を駆使して、現在では200種類もの日本産冬虫夏草の培養をすることができています。
数が少なかった日本産冬虫夏草を培養することにより、多くの薬理的実験にて様々な効能についてのデータが集まりました。
その結果、種類の違いや性質の違いで、特定のガンや病気に効果を発揮する冬虫夏草を見つけることができました。
また、日本古来の養蚕技術により、サナギタケ冬虫夏草の国内安定供給なども実現しています。
しかし、同じ菌を使って科学的に日本産冬虫夏草を培養し続けることは難しく、徐々に菌自体の力が弱まってしまうことから品質の低下は避けられません。
そのため、培養する菌を定期的に探して採取することが必要になります。
長年の経験を持った収集のプロが菌を探し、母体となる虫の培養を行うことで、国内に流通する日本産冬虫夏草は一定の品質と安全性を保つことができています。
冬虫夏草(コルジセプス・ミリタリス)には体質を改善し病状に良い効果がある成分が豊富に含まれています。冬虫夏草の主な成分と、その働きについて見てみましょう。
コルジセピンはDNA、RNAの合成を阻害することで、悪性腫瘍の分裂を阻害して積極的細胞死を誘発させる効果があると考えられています。コルジセピンを急性白血病とHIVの新薬として利用するための臨床実験は、最終段階の医薬品認定ステージまで上がり今なお実験が継続されています。
コルジセピンはサナギタケ冬虫夏草だけに含まれる代謝産物です。また同じサナギタケ虫草菌でもタンク培養した菌糸体からはコルジセピンが見付からず、昆虫生体培養のみでコルジセピンが生成されることも解りました。
SODは、DNAを損傷して脳卒中や心筋梗塞、ガン、白血病、糖尿病、動脈硬化などさまざまな疾病リスクを高める活性酸素を瞬時に還元する酵素です。体内で合成されるSODは加齢とともに減少していきますが、SODの補給は、アンチエイジングの効果も期待されています。
ベータグルカンはマクロファージやNK細胞(ナチュラルキラー細胞:リンパ球の一種)などの免疫細胞を活性化して、その働きを高めます。多くのキノコ類に含まれている成分ですが、サナギタケ冬虫夏草(コルジセプス・ミリタリス)はキノコ類の中でも上位のβグルカン含有量が確認されています。
細胞の代謝を阻害してレモンの10倍の抗酸化作用を発揮します。動脈硬化や老化を防ぐ働きがあり、カルシウムの吸収を補助するため、血液の凝固や体液のバランスを保つことにも有効に作用します。
マンニトールは、冠動脈を拡張させて血流を改善したり血圧を下げる働きがあります。血糖値を上げずに腸内細菌の状態を良化して、便秘など腸内に起因する不調を改善したり、天然の利尿剤として余分な尿酸を体外に排出する働きもあります。狭心症や心筋梗塞の予防などの働きがあることが知られています。
日本冬虫夏草の会による「漢方から見た中国の薬用菌」では冬虫夏草の効果・効能について次のように説明しています。
冬虫夏草は病院やクリニックなどの医療現場でも、ガンや膠原病の補完・代替医療として活用されています。抗ガン剤による抜け毛や吐き気などを緩和する作用もあることから、抗ガン剤と併用されることも多いようです。
冬虫夏草の投与によってガンや膠原病の症状が改善された報告は実にたくさん上がっていますが、一般にはアガリクスほど知られていないのが現状です。
日本では丹羽免疫研究所の所長を務める丹羽耕三博士が院長を兼務する、高知県の土佐清水病院で冬虫夏草などの漢方薬が代替医療として用いられていることが有名です。丹羽博士は2013年に「冬虫夏草を含む天然の生薬が肝細胞がん患者に延命効果をもたらす」と題した論文を医学雑誌「Integrative CANCER therapies」に発表しています。
また東京都中央区にある銀座東京クリニックでも、サナギタケ冬虫夏草による補完・代替医療が行われています。銀座東京クリニックはガンの漢方による補完・代替医療を専門に行っているクリニックで、西洋医学にはない「ガンに対する抵抗力を強める」冬虫夏草の働きに着目した治療を実用化しています。
全世界に350種類以上も存在する虫草菌類を総称して「冬虫夏草」と呼ぶ傾向があることから、実際には成分や効果の検証もされていない正体不明の虫草菌が冬虫夏草として販売されたりしています。
効果がないばかりでなく身体に害があると考えられる虫草菌類も存在するため、冬虫夏草の名前だけに惑わされて素性が解らない商品を購入することは絶対に避けるべきでしょう。
また、中国では冬虫夏草(コルジセプス・シネンシス)は絶滅の危機に瀕しているため、一般には手に入りません。安全性の高い国内産のサナギタケ冬虫夏草(コルジセプス・ミリタリス)など素性がはっきりしたものを入手するのが安全です。
中国では冬虫夏草は希少で手に入らないばかりか、輸出は厳しく制限されています。中国から輸入される冬虫夏草は正規ルートではあり得ず、素材・品質とも不明なものがほとんど。
高額で取引されるため、重金属をまぶして目方を誤魔化している製品もあることが解っています。冬虫夏草は日本国内で培養されたものなど、素性がはっきりした製品を買い求めるのが安心だと言えます。
国内で行われている冬虫夏草の培養では、穀物の培地に栄養分を混ぜて子実体のみを育てる方法、液体の培養液の中で菌糸のみを培養する方法などが多く行われています。
しかし、冬虫夏草(コルジセプス・ミリタリス)に含まれる独自の抗ガン成分であるコルジセピンは、昆虫の生体に虫草菌を寄生させて培養する方法でしか生成されないことが解っています。
これは虫草菌の繁殖を防ごうとする昆虫の生体の免疫反応が関係していると考えられています。冬虫夏草は、昆虫生体培養によって作られたことが明示された製品を選ぶことが大切です。
巷には「冬虫夏草配合」と書かれた健康食品が販売されています。しかし実際には冬虫夏草が極めて微量にしか含まれていない製品が多いようです。
冬虫夏草にはコルジセピンをはじめ活性酸素除去酵素やβグルカン、エルゴステロール、マンニトールなど生体に必要な成分がバランスよく含まれています。冬虫夏草は単体だけの摂取でも充分な効果が期待できるものですから、他の成分に混ぜ込まず純粋に100%の状態で摂取することが最も好ましいと言えます。
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